スマホの学内持ち込み


 今月、子供が中学校を卒業するが、新しい学校に入学する4月にはスマートフォンを持たせることにしている。卒業祝いや入学祝いというわけではない。親の事情で必要に迫られての決断である。新しい学校にも確認して了解をもらった。

 ところで先月、文部科学省が学校へのスマホの持ち込み禁止を緩和する方針だと発表した。もともと文科省は2009年1月、「学校の教育活動に直接必要ない」という理由で携帯電話の小中学校への持ち込みを原則禁止、高校では授業中や校内での使用を禁止にするよう求める通知を各教育委員会に出している。

 文科省の発表前に、4月から学校持ち込みを認めることを決めた大阪府では、使用は登下校時に限り、学内では使用を禁止するという。

 それでも教師や保護者からは、通学中にトラブルに巻き込まれたり、学校で保管して教師の負担が増えるのではないかといった心配の声も上がっている。持ち込みを認めるとしても、学内では使用しない、授業中は学校が保管するといった明確なルール作りが必要ということだ。

 ただ、昨年夏に公表された国際比較調査を見ると、「家族が一緒にいても、それぞれがスマホを操作している」ことが「よくある」「たまにある」という小学生が日本は57・5%、中学生が65%で、日本、アメリカ、中国、韓国の4カ国で最も高いという結果が出ている(「インターネット社会の親子関係に関する意識調査」国立青少年教育振興機構)。

 子供の成長にとって大切な家族のコミュニケーションの時間をスマホに奪われているとしたら、学校への持ち込みだけを心配するのは本末転倒ということになる。筆者の子供も家ではアイパッドを使っていて、会話が少なくなりがちだ。自戒を込めて、改めたいと思う。(誠)