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改めて、女子大の存在意義


 お茶の水女子大学が、戸籍上の性別と心の性が異なるトランスジェンダーの学生の受け入れを決めた。この問題では米名門女子大が4年前にトランスジェンダー受け入れを決定している。早晩、日本も同様の判断を求められると思っていたが、想像以上に早いタイミングで事が進んだ。

 2015年、性同一性障害の小学生児童の保護者からの相談がきっかけだが、日本学術会議による提言(『性的マイノリティの権利保障をめざして』)が後押しした。7月10日、記者会見で室伏きみ子学長は、「女子の解釈を拡張し、出願資格を『戸籍または性自認が女子とする』に改める。性自認の具体的な確認方法はこれから検討する」とした。

 会見で、これまで問い合わせが何件くらいあるかとの問いに、室伏学長は「統計は取っていないが、2、3年に1度。2016年の初めごろに複数件の問い合わせがあった」と話した。

 今後、トランスジェンダーの学生が出願を決めるとなると、高校生の段階で親や担任、塾の先生にカミングアウトする状況になるのではないか。これも相当勇気がいる。こうした覚悟を持った志願者がどれくらいいるのだろうか。

 一方、「女子大ならではの安心感」という理由で選択する学生や親御さんは少なくない。性自認の確認が本人の自己申告となれば、不安を覚える人もいるだろう。在校生ら関係者への説明や理解は十分なされているのか、疑問符が残る。

 2年前、日本学術会議のシンポジウムで名門女子大トップが、「女子大はジェンダーを先導する役割がある」と豪語していたのを思い出す。女子の解釈を拡張し、「多様な女子」に門戸を開くことで、将来も女子大が存続し続けることができるのか。学長は「女子大の存在意義はある」と言うが、ジェンダーを指向すればするほど、女子大の存在意義は薄れていくように思えてならない。(光)