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教科書のバリアフリー化


 梅雨に入る6月ごろから、全国の教科書センターや学校、公立図書館などで、来年度から使用される検定教科書の一般展示が行われる。先日、仕事の帰りに教科書センターに立ち寄った。

 来年度から道徳の授業で使用される中学校の道徳教科書では、取り上げる偉人、装丁のビジュアルさの違いはあるものの、いじめ問題や情報モラルなど概(おおむ)ね似た内容で構成されている印象を受けた。

 こうした展示教科書の他に、実はタブレット教材などさまざまな教科書がある。今回、初めて知ったのだが、化学物質過敏症に悩まされる児童・生徒用として、一人ひとりの症状に応じて天日干しをしたり、消臭紙のカバーを施したり、特別対応の教科書を大変な労力をかけて提供している。

 平成20年、「教科書バリアフリー法」が施行され、教科書会社は児童・生徒の障害や特性に応じて、例えば、弱視の子供向けの拡大教科書を作成している。弱視の程度に合わせて、活字のポイントが異なるものを3種。ページ数で言えば、標準本の4冊分以上もの量になる。こうした点字や拡大教科書、特別対応本は少ない部数で発行するため、教科書会社の負担も相当大きい。これも新規参入を難しくしているところでもある。

 先月、タブレット端末などで使える「デジタル教科書」の使用を認める改正学校教育法が成立した。これによって、障害等で紙の教科書を使用して学習するのが困難な児童・生徒がデジタル教科書を使用して学べるようになる。また日本語能力が不十分な児童、漢字が読めない外国人は、ルビ付き漢字機能や音声朗読機能を活用すれば、学習がずいぶん助けられる。

 現行法では今のところ授業では紙の教科書に副教材のデジタル教材を併用する形になる。さまざまな議論が進行中だが、教科書会社にとってもコスト軽減につながれば、これも一つのメリットであろう。(光)