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軍事研究は平和を脅かす?


 かつて「産学協同」研究が、「大学と独占資本との癒着」「大学教育の独占資本への奉仕」などと糾弾された時代があった。1970年代後半、各大学が創立◯◯周年記念事業のため企業募金を行うと、左翼学生たちが学内で関係教授たちを追い回してつるし上げることも日常茶飯事だった。産学連携や産学官連携が当たり前になった現在では信じられない光景だろう。

 ただ、イデオロギーに基づく産学協同批判はなくなったが、実際に産学協同がうまく機能しているかというと、そうとも言えない。「研究費補助は多く、口出しは少なく」という大学(教授)側と払った研究費に見合う成果が欲しい企業側との思惑の違いを調整するのは容易でないためだ。

 京都大学が3月28日、「軍事研究に関する基本方針」を発表し、「本学における研究活動は、社会の安寧と人類の幸福、平和へ貢献することを目的とするものであり、それらを脅かすことに繋がる軍事研究は、これを行わない」と表明した。

 この方針は昨年春、軍事研究の否定を再確認した日本学術会議の声明の延長線上にある。声明は「軍事的安全保障研究(軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究)が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にある」と確認し、防衛装備庁が2015年度に発足させた「安全保障技術研究推進制度」は、「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と断定。婉曲(えんきょく)な形で、防衛省関係から資金補助を受けて研究するなと言っているわけだ。

 そもそも軍事的な手段によらない国家安保研究にどれだけ効用があるのか。また、端から防衛省関連の研究費補助を問題と決め付けるのは、かつての産学協同批判と同じく、学問の自由と学術の健全な発展をより阻害することにならないか。安保と学問の発展を両立させるため、もっと実情に即した軍学協同を模索すべきだ。(武)