春は必ずやって来る!


 受験シーズ真っ只中(ただなか)だ。都心を歩くと、受験のために上京してきたと思われる親子連れが目に付くようになった。例年になく厳しい寒さが続いているが、受験生やその家族は余計に身に応えるのではないか。

 昨年、次女が大学に入学したことで、筆者の子供3人はすべて受験を終えたが、それぞれに忘れられない思い出がある。長女の場合、AO入試だったが、実技の試験があったことや、親としての初めての経験だったことで、家中ピリピリしていた。

 最も印象に残っているのは長男の場合だ。中学1年の2学期から不登校になり、卒業時の通信簿は「1」がずらり。人間そこまで落ちてしまうと達観するもので、同じ数字の並びに芸術的な美しさを感じてしまった。

 結局、長男は高校の通信制に。そこで発奮して自宅勉強し、大学受験にたどり着いた。しかし、前期試験で、第1志望だった国立大学に不合格。そこで、後期で公立大学を受験することにしたが、受験前日に「3・11」の大地震に遭遇。一時は、受験中止かとの不安を味わいながらも何とか合格した。

 そして次女。第1志望は公立大学だった。しかし、模擬試験の結果はボーダーライン。滑り止めに、私立大学を3校受けたが、合格したのは最も偏差値の低い1校のみ。口にこそ出さなかったが、筆者と妻は「公立はダメかな」の心境で、私立の入学金を納めた。

 ところが、最も偏差値の高い公立大学に合格。大学のホームページで、それを確認した次女は「お父さん、受かった!」と叫び、泣き崩れた。あれからもうすぐ1年。次女は3月末、米国に半年間留学する。

 その次女だって、兄の影響を受けたわけではないだろうが、小学4年生の時、「担任が嫌いだ」と言って、半年余り不登校になった。どんな厳しい冬でも、春は必ずやって来ることを今、しみじみと思う。(清)