世界日報 Web版

おむつなし育児の喜び


 先日、日本家庭教育学会の大会で、三砂ちづる・津田塾大学教授の講演を聞く機会があった。テーマは「家庭において引き継がれるべきもの―『女性論』『身体論』の観点から―」

 三砂教授は、多くの著書や講演の場で女性が出産や育児を通して感じる喜びの経験について語っている。この日も、「家族は無限の受容装置。親から受容されているという経験ほど、子供が親から与えられる重要な贈り物はない」「お産は自分が宇宙の塵になるような(崇高な)感覚。母乳育児は他に何もいらないというほどの幸福の経験。女性はそういうことを感じることができる身体を持っている」など興味深い話が多かった。

 その中で特に参加者の関心を引いた話の一つが「おむつなし育児」だった。三砂教授によると、排泄(はいせつ)と生殖は根源的・身体的な喜びを喚起するが、今は乳幼児におむつで排泄をさせることが普通になっているため、かえって生命力をそいでいる。排泄の際はトイレでできるようにしてあげることで、その心地よさが子供の発達を促す。実際、赤ちゃんが誇り高い顔になり、能力も高い子が育っているという。

 おむつなし育児を実践した親子を調査すると、子供がしてほしいことがよく分かるようになり、育児に自信が付いた親が多かったという。講演の後にコメントした女性も、「自分が育児を負担だと思わなかった理由は、おむつなし育児を実行したから」と語っていた。

 最近は、幼稚園に通うようになっても、おむつを外せない子が少なくないと、何人かの園長から聞いたことがある。もちろん共働きの親が増える中、子供の排泄のサインを常にキャッチすることは簡単ではないかもしれない。それでも出産や育児に対して親が自信を持ち、喜んで取り組めるということは、育児不安を感じる若い世代にとって希望となるのではないか。(誠)

PAGE
TOP