躾を強く言えない環境の中で


 1950年代、まだ、戦後の様子が残る時代に生まれ、成長してきた世代はワルサをしたり、常識を超えるようなことをすると、親だけでなく、近所のオジサンたちに、大きな怒鳴り声、時にはゲンコツで、こっぴどく叱られたものだ。当時は悪いことをしたのだから、当たり前という時代だった。

 少子高齢化が進む昨今、子供の「権利・自由」のウエートが大きくなって、「義務」や「迷惑をかけない」といった当たり前のことが疎(おろそ)かになってきている。子供の躾(しつけ)においても、大きな声を出して叱ったり、躾と称して、ゲンコツを見舞って、子供を泣かせようものなら、近隣の住民から警察や児童相談所に、「児童虐待」として通報されかねない。

 そんなことを考えながら、ぶらりと寄った本屋で面白い本を見つけた。『13歳からのマナーのきほん50 あたりまえだけど大切なこと』アントラム栢木利美著(海竜社 1200円)という表題が気に入った。わが家の1男2女は成人し、みんな独立してしまったが、もっと早く、この本に出合っていれば、「躾はもっと変わったものになっていたのにな」と思わされる。

 同書は「食事のきほん」「あいさつ・身だしなみのきほん」「訪問・電話のきほん」「おでかけのきほん」「手紙・贈り物のきほん」について、細かい決まり事を紹介しているが、共通しているのは「相手が喜ぶように」「みんなに迷惑が掛からないように」「後の人が困らないように」という、当たり前のことだけど、ちょっとした思いやりが大切だという。

 中学校の入学から1カ月半、新しい環境にも慣れ、クラブ活動の先輩・同僚や同級生との付き合いが、徐々に広がっていく頃。前記のようなマナーが必要な場面が、増えていく。そうした場面でも、気後れせず、困らない基本の所作を知って、実際に使えるようになれば、と思う。(和)