中学校の新学習指導要領が告示され、保健体育…


 中学校の新学習指導要領が告示され、保健体育の「武道」に旧日本軍の銃剣術の流れをくむ「銃剣道」が盛り込まれた。これに対し、朝日新聞は「波紋が広がっている」(4月1日付)と早速難癖を付けている。

 「ネット上では『銃剣道って日本軍以外に使われる物なの?』『なぜ中学校で教える必要があるの? 誰が教えるの?』などと戸惑いの声が上がる」(同)とも。銃剣道は戦後、戦技的内容が払拭(ふっしょく)され、近代スポーツとして定着しており、見当違いの見方だ。

 現在、授業に取り入れているのは全国で神奈川県内の中学校1校だが、競技人口は約3万人に上る。国体の種目にも採用されており、文部科学省は今回、これらの点を評価し、武道例の一つに挙げた。

 銃剣道は、樫の木で作られた木銃で相手よりも早く喉、小手、胸を突いて「一本」を狙う競技で、剣道と同様、競技時間の割に運動量が多い。選手たちの気迫が伝わり観戦も楽しい。

 埼玉県戸田市在住の元中学校教諭、今澤雅一さん(67)は銃剣道の普及に努める一人で、数年前まで県内中学校で体験学習の場を設けていた。

 「体験学習を機に興味を持ち、段の受審を目指し稽古に励む生徒も出ている」(今澤さん)そうで、今後、地道な啓蒙(けいもう)活動が必要だと言う。日本古来の槍術(そうじゅつ)の心技に源流を持ち、剣道などの武術の理論を消化した銃剣道。今回、学習指導要領に加わったことをきっかけに、愛好の輪は広がるか。