教育勅語論争、評価できる歴史上の立国理念


 国会では学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる質疑から、同法人が幼稚園教育に取り入れた教育勅語に論争が及んでいる。8日の参院予算委員会で社民党の福島瑞穂副党首が稲田朋美防衛相に「教育勅語が戦争への道につながったとの認識はあるか」と追及した。そのような認識は短絡的だ。近代国家建設を目指した明治維新後の教育立国の理念として冷静に捉えるべきである。

憲法尊重と法律順守説く

 参院予算委の質疑で稲田防衛相は、「日本は道義国家を目指すという教育勅語の精神は、今も取り戻すべきだと考えている」と評価し、一部の野党やマスコミが問題発言とみている。

 安保法制をめぐる一昨年の通常国会でも野党は、戦争中に戻るかのようなレッテル貼りで安倍内閣を攻撃した。森友学園問題では、福島氏ら社民党や共産党、民進党の左派が教育勅語を取り上げて追及している。

 森友学園の幼稚園で教育勅語を暗唱する教育内容に、野党が学校教育法など法令違反を問い、批判したのは、1948年に教育勅語を衆院が排除、参院が失効と決定したためだ。ただ、当時のわが国は第2次世界大戦に負けて占領下にあり、戦前が否定された時期だった。

 むしろ、教育勅語の評価は、1889年の大日本帝国憲法の発布の後、90年帝国議会召集に先立ち発布された時代の歴史的背景をもってなされるべきだろう。

 勅語の「國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ」と憲法を尊重して法律を順守するように説く一文は、江戸時代から明治維新によって近代国家を建設するには教育をもってする教育立国の方針を示したものだ。封建時代が残る社会に憲政を根付かせた大きな役割を果たした。

 また、勅語は「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ」と親孝行、兄弟愛、夫婦愛、友人との信頼など良好な人間関係を築くように説いている。

 さらに「博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ」と博愛を人々に及ぼし、学問を修めて仕事を習い、知能を啓発して徳のある器量を完成して、進んで公益を広めるように教えている。これは国際化が格段に進んだ現代にあって「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」とする教育基本法2条にある精神にも通じるものだ。

 幼稚園で教育勅語を教材に取り入れることについて、政府は7日に「学校教育法の規定に基づき、文部科学相が定める幼稚園教育要領において規定は存在しない」とする答弁書を閣議決定した。教育勅語を暗唱することは法令違反とは言えない。

 「戦争への道」は明治維新後の教育によってではなく、周辺の大国との地政学的な軍事情勢や経済情勢に起因する要素がはるかに大きかった。

左翼思想が人心荒廃招く

 むしろ、戦後の共産党、旧社会党など左翼陣営の反戦イデオロギーにより、徳目ある教育内容まで「戦争」と一緒にされて否定されたことが、人心の荒廃を招き、青少年の犯罪や家庭の崩壊を増産したと言えよう。