部活の外部指導者、地域・学校挙げ楽しく支援を


 あと1カ月余りすると、新学期を迎える。小学校であれ中学校であれ、ピカピカの1年生が夢と希望を持って通い始める。一方、中学校や高校では何らかの部活動入部を強制される学校が多い。何をやりたいのか自分が決め、先輩、同級生、指導教員と楽しく、思い切り青春を謳歌(おうか)してほしいものだ。

教員の負担「強制顧問」

 昨年文部科学省が全国の中学校を対象に調査した結果、5校に1校が部活動の休養日を設けていないことが明らかになった。東京・大阪などの大都市では6割以上に達した。

 多くの学校では教員が何らかの部活の顧問になることが強制的になっており、部活動以外の担当授業の準備やテストの採点など「本業」についても負担が大きくなっている。また、土・日曜の部活で練習を見る場合の手当は1日3000円前後、平日は残業扱いで手当なしだ。文科省は業務改善に集中的に取り組むモデル地域を指定するなど、“世界一の長時間勤務”とされる日本の教員の働き方改革を進めようとしている。

 部活動が学校教育の大切な一翼を担っていることは確かだ。学習指導要領に学習意欲向上や責任感、連帯感を育むのに役立つと書いてある。練習や試合を通して培った先輩・後輩の関係、同級生との友情が、大きな財産となっている人も多いだろう。

 一方、強豪校となると、前日の疲れが取れないまま早朝から朝練習も多い。疲れ切って、授業中に居眠りしたり、注意不足で練習中にけがをしたり、ということになれば、何のための部活か、ということになる。

 文科省は昨年夏、運動部の過度な練習による「障害防止」のために出した報告書で「中学校は週2日以上の休養日を」「高校は週1日以上の休養日を」「長期休業期間にはまとまった休養日を」「平日の練習は2~3時間、土日は3~4時間」としている。

 「そんな甘ったるい練習では全国大会で勝てない」「上達するには練習あるのみ」という強豪校の理屈もある。また、プロを目指して幼少のころから地域のクラブチームで練習してきたというケースもあろう。そうしたケースと一般の生徒の部活とを区分けして考える必要がある。

 顧問教員にとっては、主に土・日曜に開かれる大会への引率が大きな負担になっている。現在でも中学・高校では外部指導者(運動部の監督やコーチなど)制度がある。だが、その責任範囲や待遇などが曖昧だ。

 文科省は教員負担軽減のため、このたび、「外部指導者」を「部活動指導員」として学校教育法施行規則に明記し4月にも施行する。そうすれば、引率は教員に限定という原則が変わる。

多様な人材から募集可能

 外部指導者の役割は生徒に対する専門的指導だ。保護者や地域のスポーツ指導者、退職教員、同じ学校を卒業した大学生など多様な人材から募集が可能。しかし、指導の行き過ぎによる暴力事件や、男性指導者の女子生徒へのセクハラなど、すべてがうまくいくとは限らない。地域社会を挙げて「少しでもうまく、少しでも強く、楽しく」という生徒の思いが実現する部活動にしてほしい。