晩婚と未婚が広がる時代に


 昨年末、筆者の従弟が“ついに”結婚した。40代半ばでの初婚だ。今は晩婚も珍しくはないが、叔父たちはさすがにホッとしていた。

 義理の弟も結婚は30代後半。20代の頃には「自分は一生結婚しない」と言って義父と義母を心配させていた。それが今は2児の父としてすっかり頼もしくなっている。従弟も義理の弟ももともと真面目な性格だが、昔であれば「結婚して一人前」と言われたように、結婚して家庭を築いてこそ人として大きくなることが確かにあると、2人を見て思う。

 厚生労働省の統計では、昨年の平均初婚年齢は夫30・7歳、妻29・0歳で、年々高くなっている。50歳時点で一度も結婚したことがないという生涯未婚率を見ると、男性では1980年の2・6%が2010年には20・1%と、実に10倍の割合になっている。晩婚化や未婚化は当然、少子化を進行させることにもなる。

 未婚者の9割は「いずれ結婚するつもり」と答えているが、経済的な問題、適当な相手が見つからない、交際が面倒、もう少し気楽でいたい、といった理由で先延ばしにしているという。大学進学などで社会に出る時期が昔より遅くなり、「まだ若過ぎる」と考えるうちに機会を逃す人もいるようだ。

 一方で、同省の別の調査では、中学2年生女子の6割が「20代で結婚したい」と回答し、そのうちの半数は「20代前半のうちに」と答えている(「第14回21世紀出生児縦断調査」)。漠然とした憧れかもしれないが、結婚や家族、子育てに否定的な情報があふれる今の時代に良い意味で意外だった。

 晩婚化と未婚化が進む今、雇用など環境を改善する対策はもちろん必要だが、同時にこうした子供たちのために、学校教育の場で結婚や家族、子育ての喜びなどに触れる機会を増やす必要があるのではないか。それが自分の将来をしっかり考えることにもつながるはずだ。(誠)