2度目の結婚式


 ここ数年、夫婦が誓いの式を挙げる「バウリニューアル」が広がっている。

 バウリニューアルとは「新たな誓い」「誓いの更新」という意味で、結婚記念日など人生の節目に夫婦が改めて愛を誓い、お互いや周囲へ感謝を伝える儀式。もともと欧米が発祥で、結婚式と同様、聖職者、キリスト教式の場合は牧師の前で誓いの言葉を述べて、誓約書にサインする。いわば「2度目の結婚式」だ。

 日本では芸能人のカップルが行って知られるようになり、メディアでも度々取り上げられている。一般社団法人バウリニューアルジャパンなどのウエブサイトには、結婚記念日にそれまでの家族生活を振り返って絆を深めたり、両親の還暦祝いに子供たちが式を企画した家族の例などが紹介されている。

 リニューアルが広がるのには、ブライダル業界の押しもあるだろうが、神前で夫婦再出発を誓う儀式は、愛情表現が苦手な日本人ならずとも貴重なことかもしれない。また、バウリニューアルは、小さな子供たちに両親(夫婦)の幸せな形を見せる良い機会にもなるという。

 ちなみに、子供や夫婦のカウンセリングを行っている医師から聞いた話だが、若者たちが結婚しなくなっている原因の一つに、夫婦仲が悪い両親の姿に失望していることもあるという。

 未婚化の最大の理由は経済的事情と言われるが、“夫婦の理想モデル”を思い描けず心の奥に迷いを抱えている若者も少なくないというわけだ。夫婦の仲はそれほど子供の未来に大きな影響を与える。

 子供たちに結婚や家庭について教える教育の必要性は度々指摘されているが、バウリニューアルがそうした結婚教育につながるとすれば、より意義ある式になると言えるのではないか。(誠)