教科書で教える家族


 昨夏、少子化対策に関する内閣府の有識者検討会が「妊娠・出産等に関する正しい知識を学校教育段階で伝える」「若い世代に対し、結婚生活や家族形成のポジティブな面の情報発信を行う」という提言を行った。こうした教育や情報発信の必要性はこれまでも言われてきたが、個人のライフスタイルへの介入という批判を恐れ、国や自治体は及び腰だった。

 現在使用されている高校家庭科の教科書を見ると、「結婚や家族が制度化され、法律によって権利・義務が規定されているのは、家族が子どもを生み育てることを通して、種の再生産と社会の維持・存続に貢献しているからである。…家族の安定は、家族員一人一人の精神的安定につながり、社会全体の安定にもつながる」(東京書籍)、「子どもを生み育てることは、子孫を残し、家族の絆を強めるといった個人的な意味がある。同時に、文化を継承・発展させ、未来を担う社会の構成員を育てるという社会的な意味を持つ」(実教出版)と書き、家族や親になることの意義を考えさせている。

 ただ、事実婚や同性カップルにも法律婚と同等の権利を認める海外の制度や、夫婦別姓などの民法改正の動きを大きく取り上げるなど、伝統的結婚に否定的とも受け取れる記述もある。一方、「妊娠・出産等に関する正しい知識」、つまり妊娠に適した年齢などの問題までは触れていない。

 文科省などが作成した高校生向け副教材では、妊娠しやすい年齢や不妊の増加を取り上げていたが、一部メディアはこれに過剰反応し、「国や自治体の少子化対策が『産めなくなる』不安をあおっている」と批判する。

 だが、高齢出産のリスクや卵子の老化は現実の問題。それこそ若い世代のライフスタイルの選択に関わる。こうした問題を含めて結婚と家族の意義を教えることこそ、大人の責任であるはずだ。(誠)