子供の貧困と学力の関係は? 生活保護受給層で低い進学率


◆ きょういく Q&A ◆

子供の貧困と学力の関係は? 生活保護受給層で低い進学率

子供の貧困率の推移

  ニュースで「子供の貧困」がよく取り上げられていますが、実態は。

  まず貧困率について簡単に説明しましょう。世帯収入をもとに、国民一人ひとりの所得を計算し、その中央値の半分(貧困線)に届かない人の割合です。子供(17歳以下)の貧困率は、子供全体の中に占める割合を言います。「国民生活基礎調査」(平成26年)によると、貧困線122万円未満で暮らす子供の割合は16.3%で過去最悪でした。つまり、日本の子供の6人に1人が貧困という実態なのです。

  貧困層の子供たちはどのような家庭環境にあるのですか。

  ひとり親家庭の貧困率が高いのが特徴です。母子世帯が増えており、働く母親の多くは給与が低い非正規雇用です。

  教育や進学への影響は。

  部活動や修学旅行費の積み立てなど「私費」負担があり、塾に通わせる余裕がありません。そうしたこともあって、大学進学率は全体ではほぼ5割ですが、生活保護受給層では15.6%(平成25年、厚労省)、高校進学率は89.9%(全体98.4%)となっています。また、母子世帯の母親の学歴は、中卒が54.7%。今の日本では、貧困家庭と一般家庭では、子供の学力に差が出て、進学や就職にも影響が及んでいるのが実情です。

  政府はどんな対策を行っていますか。

  親から子への「貧困の連鎖」を防ぐため、教育費の負担軽減や親の就労支援などを行っています。また、貧困な子供を支援するための基金を設立して、企業や一般からの募金を求めていますが、なかなか集まりません。