子宮頸がんワクチン問題 被害少女ら会見に臨む


「積極的勧奨、再開しないで」

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田村厚労相との面会後、記者会見する「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」メンバーら=23日、厚労省会見室

 「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」(松藤美香会長)は23日、重い副反応に苦しむ少女8人や保護者らとともに、田村憲久厚労相に面会した。

 同ワクチンの定期接種対象からの除外、治療に関わる金銭的援助などを求める5項目の要望書を手渡すとともに、子供たちが突発的な痙攣や痛みの状況を伝えた。

 被害者の少女たちは面会後、保護者に付き添われて省内で記者会見を行ったが、重篤副反応を患う被害者がメディアの前にそろって姿を現し意見を述べたのは初めて。中には車椅子に乗った女生徒も複数いた。

 昨年10月に副反応が出て1カ月半寝たきりだった高校3年の女生徒は「こんなに痛いのにどうして治らないのか、解決策を見つけてほしい。運動会にも皆との遊びにも行けなくなった」と泣きながら語り、「(ワクチン接種の)積極的勧奨が再開されるということが無いようにしてほしい」と訴えた。

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重篤副反応に苦しみ車椅子で厚労相に面会した被害少女

 一昨年2月の接種で副反応が生じ、今も手足の痛みに苦しむ18歳の少女も「これ以上、私たちのように苦しむ人たちを出したくない」と指摘。ただ「多くの人が打っている中で、ほかの人にやめるように言ったり、自分が苦しんでいる、ということを口にしにくい」という辛い胸の内を吐露した。さらに「家から出られない人もおり、動ける自分が出ていって少しでも治療法を考えるきっかけになってほしい」と語った。

 子供たちは、同連絡会を通じて他の被害者と知り合い「気持ちが少しずつ前向きになっている」(中3女子、14歳)という。

 会見中に突然、手足が不随意運動を起こす子がいたが、「こうした苦しみを視聴者に知ってもらいたい」と、撮影を容認する保護者もいた。

 少女たちが日常の苦しみを語ったのに対し、田村厚労相は「検討チームを立ち上げ被害実態を掌握しなければいけないことは強く自覚している」と述べるにとどまった。

 娘(高2)が車椅子状態で副反応に苦しむ保護者(横浜市)は、「入院しないと治療費が出ないし、不定期な発作なので介護保険も使えない」と説明。

 連絡会の池田利恵事務局長は、「接種で副反応が出ても補償制度があるとワクチン接種を勧めてきたが、発作が出ると副反応かどうか認定されない。これがワクチン行政の実情だと思う」と語っている。