道徳虚偽報告、意図的であれば厳重な対処を


 文部科学省が実施した小中学生向け道徳教材「私たちの道徳」の活用状況調査で、山梨県教育委員会が山梨市内の小中学校から上がってきた回答を書き換えて同省に報告していた。文科省などの中央省庁は、現場の報告内容を参考に今後の対応を決めるため、虚偽の報告だと誤った判断を下す可能性もあり、大きな問題と言える。

山梨県教委が書き換え

 調査は文科省が昨年7月15日から8月29日まで、すべての公立小中学校を対象に実施。道徳の時間に使用している教材や「私たちの道徳」の活用、配布について、現場での状況を聞いたものだ。

 問題の書き換えがあったのは配布についての設問のうち、「学校に置いたままとせず、家庭に持ち帰るようこれまで(回答時まで)に指導をしていますか」との質問に答える内容だ。

 山梨県教委は、山梨市内の中学校の回答として「全ての学級で指導している」が2校、「一部に指導していない学級がある」が1校だったと報告した。また同市内の小学校では「全ての学級で指導している」が10校、「一部に指導していない」が1校だったと回答している。

 しかし山梨市が現場の報告として県教委に上げた内容は、小中学校ともに違っていた。市内の中学では「全て指導している」が1校だけだった上に、「指導していない」が1校あった。

 小学校でも、県教委が「一部に指導していない」と文科省に報告したものは、学校側が「指導していない」と答えたものだった。

 山梨県教委の報告では、指導していない理由を記述式で書く欄も変わっていたことが分かっている。山梨市のある中学校は「今はまだ、家庭に持ち帰り自由に活用することはできないと判断しました」と回答したが、同県教委の判断で「今後は、家庭に持ち帰り活用するようにしていきたいと考えます」と書き換えられていた。

 学校数が間違っていただけであれば集計ミスとも考えられるが、記述式の欄まで変わっていたとなると、何かしらの意図が働いたと見るのが自然だろう。

 下村博文文科相は本紙とのインタビューで「(調査結果は)実態と少し違うと思う」と指摘していたが、改めて問題のある調査だったことが判明したと言えるだろう。

 文科省は調査の趣旨として「『私たちの道徳』の活用状況等を把握し、今後の道徳教育の取組の参考とするため」としている。山梨県教委が内容を書き換え、文科省の今後の道徳教育の判断に影響を与えていたとすれば、大問題だ。

 文科省の担当者は、この件について「事実を確認する必要がある」と話しているが、山梨県のケースだけでなく、他に書き換えがないか全国的に調べる必要がある。

文科省は徹底調査を

 その際、過去に同じような虚偽の報告がなかったか、関係者に詳しく事情を聞いて徹底的に調査すべきだ。

 文科省に正確な報告を上げない目的で意図的に書き換えが行われていたとすれば、厳重な対処が求められる。

(3月8日付社説)