小中学校での「道徳」が早ければ平成30年度…


 小中学校での「道徳」が早ければ平成30年度にも教科化される。一部の新聞は「価値観の押しつけ」に繋がるなどと批判しているが、価値観こそしっかりと教えるべきものだ。もちろん教え方は十分、工夫を要する。

 正岡子規は明治32年に執筆した「病牀(しょう)譫(せん)語」という随筆の中で修身(道徳)教育について持論を展開している。「小学校の修身科は極めて必要なる学科にして、修身科以外の学科にも多少修身的意義を加へて教授すること最効力あるべしと思はる。されど中学以上に倫理科を置きてこれを講義的に教ふるは不必要の事に属す」。

 ここで注意すべきは、子規の時代、中学の学齢はほぼ今の高校に当たるということ。子規も小中学校の道徳教育の大切さを指摘しているのだ。

 そしてここが重要なのだが、子規は修身に関して自分の記憶に残っているのは、教科書以外の副読本の中の「修身的事実談」だったという。「徳育はこの秘訣を知らざるべからず。この秘訣を行ふには修身教科書にのみよらで教師が臨機の教授を必要とす」と強調している。

 小中学校の道徳教材「私たちの道徳」は、元プロ野球選手の松井秀喜さんらの興味深い「事実談」が載っている。にもかかわらす、2割の中学校では、家に持ち帰って読むよう指導しなかった、という調査結果が出ている。

 もうすぐ冬休み、教師には子供たちに休み中、家で活用するようにしっかり指導してもらいたい。