子育て世代の共働き急増で乳幼児が深刻な睡眠障害に


子育て世代の共働き急増で乳幼児が深刻な睡眠障害に

赤ちゃんが寝る時間の国際比較

 日本は世界有数の夜更かし大国と言われる。赤ちゃんが寝る時間の国際比較では、夜10時以降に寝る赤ちゃんの割合が5割近い。子供の睡眠研究者のアビ・サデー氏らの調査によると、日本の乳幼児(3歳児以下)の総睡眠時間は11時間37分。17カ国・地域中で最も短いという。

 子供の睡眠障害に詳しい小児科医・三池輝政氏によると、乳幼児期に必要な睡眠は12~14時間とされる。赤ちゃんが睡眠不足になると、脳の海馬の成長に深刻な影響を及ぼす。さらに乳幼児期の遅寝の生活習慣は小中高へと受け継がれ常態化しやすい。最近の調査では、悪い睡眠習慣が学習意欲や学力低下、さらには不登校やひきこもりの要因になることが分かってきた。

 赤ちゃんの睡眠障害の背景として、親の価値観の変化とともに共働きの子育て世帯の増加が指摘されている。国民生活基礎調査によると末っ子0歳児を持つ母親の3人に1人は働いている。働き方にあわせて保育園も長時間が当たり前になった。

 三池氏は、「10歳くらいまでは子供中心の生活時間につきあう」(『子どもの夜ふかし 脳への脅威』)ことが大切だと説いている。親の意識が変わるとともに、保育のあり方も改善する必要があるだろう。