佐賀大学に賠償命令、地裁判決で信仰の自由侵害認める


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原告側の記者会見=25日、佐賀市高木瀬町の世界基督教統一
神霊協会佐賀教会

 佐賀大学(佛淵孝夫学長)の准教授に研究室に呼び出され、信仰について侮辱され棄教を迫られたなどとして元女子学生(24)と両親が准教授と佐賀大を相手取り440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、佐賀地裁(波多江真史裁判長)は25日、大学に対し元女子学生に4万4千円、両親に各2万2千円の計8万8千円の支払いを命じた。准教授個人の責任は問われなかった。

 判決文によると2011年12月から12年2月の間、当時、原告の女子学生の担当教員だった森善宣准教授は、研究室内で女子学生に加入していたCARP(原理研究会)からの脱会を勧め、学生の両親が入信していた世界基督教統一神霊協会の合同結婚式は「犬猫の結婚」などと誹謗(ひぼう)し侮蔑する発言を繰り返した。

 波多江裁判長は「配慮を欠いた発言で、信仰の自由を侵害した」と指摘。国立大学の職員としての発言であり、大学が賠償責任を負うと述べた。

 一方で、女性が大学側とのやりとりを録音していたことなどを挙げ「攻撃材料にする目的があったと推認できる」と判断した。

  元女子学生の話。 不法行為が認められ、大学の責任が認められたことは評価します。そもそも、この事件は、大学の組織的な「カルト対策」の一環としてその延長上に起きたものです。今回の大学の責任を認める判決を機に、大学において信教の自由を抑圧する「カルト対策」がなくなることを期待します。

 鴨野守・統一教会広報局長の話 真理を探究し、思想信条の自由を重んずべき大学において、二度とこのような人権侵害が行われないよう、強く求める。またマスコミの皆様には統一教会、CARP(原理研究会)メンバーを拉致監禁し、脱会させ、報酬を得るというカルト利権集団が存在し、信仰の自由が著しく侵害されている事件にも関心を持ってもらいたい。

 佐賀大学の話 本学はかねてより教員が学生のプライバシーに過度に踏み込んだり干渉したりすることのないよう、ガイドラインの配布や研修会の開催等により周知徹底を図ってきたにもかかわらず、裁判所の判決において本学教員が問題のある発言をしたと判断されたことについては重く受けとめています。今後の裁判の帰趨(きすう)を見据えながら当該教員については規則等に基づき厳正に対応してまいります。