大学生8人に1人が中退/理由は不適応や無気力


大学生8人に1人が中退/理由は不適応や無気力

大学学部入学者数と卒業者数の推移

 フリーターの増加につながる大学生の中退増加が問題となっている。中退者の正確な数値は公表されていないが、学校基本調査の大学入学者数と4年後の卒業者数から概算すると、毎年約5万人、大学生の8.2%が退学あるいは転学などで途中で辞めていることになる。

 中退率3割前後が当たり前の欧米と比べると、日本の8.2%は異常なほど低い。なぜ、日本の中退率が問題なのか。一つは中退の理由にある。大学卒業基準が厳格な欧米諸国と違って、日本は卒業基準が緩い。かつては目的がある積極的中退だったが、最近は不適応、無気力が理由で中退する場合が多い。中退後に正規雇用で就職できないまま、多くが非正規雇用やフリーター、アルバイトといった不安定な仕事に就いている。

 一方、中退の増加は大学経営を圧迫する。多くの大学でカウンセリングや授業出席を管理するなど中退対策に力を入れている。ただ手取り足取りのサポートは行き過ぎとの指摘も。手厚いサポートで無事卒業し就職したとしても大卒者の3割が3年以内に辞めているのが実状だ。

 簡単に辞めてしまう若者をどう引き止めるか。若者対策は大学や企業にとって共通課題となっている。