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日本史必修化、「日本」を世界へ発信するため


 高校での日本史を必修科目とする方向で検討が始められた。そもそも、自国の歴史である日本史が選択科目であること自体、異常である。

 文部科学省は今年夏ごろ中央教育審議会に諮問し、早ければ2020年度の実施を目指すとしているが、できるだけ早く実現してほしい。

 真の国際人育成に必要

 下村博文文部科学相は、必修化検討について「グローバル化が進む中で、日本人のアイデンティティーを育てるため、日本の歴史や文化に対する教養を備える人材育成が必要だ」と述べている。

 1989年改定の学習指導要領で世界史を必修として、日本史は地理との選択制となった。理由は「国際化への対応」ということだった。しかし、それは国際化に対する浅薄な考え方に基づくものだったと言わざるを得ない。

 英語教育の強化の中で、これまでより英語を話せる日本人が増えることは確かだろう。だが、日本の歴史や文化について外国人を満足させられるような紹介・説明を行うためには、日本人自身が十分な知識と誇りを持つ必要がある。

 自国の歴史を堂々と語れなければ、外国の人々から尊敬を受けることはできない。特に現在、日本文化への関心が高まり、20年には東京オリンピック・パラリンピックも開催される。真の国際人を育てるため、日本史を教えることは必須と言える。

 日本史の必修化は、09年改定の現行の指導要領で検討されながらも見送られた経緯がある。こうした中、神奈川県、東京都の教育委員会は実質的な必修化を行っている。

 現在、高校の社会科は「地理歴史」と「公民」に分けられている。今後、日本史を必修とした場合、他の科目をどうするかなどが検討されることになる。

 中学での歴史教育は日本史中心の内容となっており、高校の社会科で世界史を選択科目にすると十分に学べないケースも出てこよう。グローバル化への対応という観点からは、世界史も必修として残す方が望ましいのではないか。

 歴史は最も総合的な科目である。政治、経済だけでなく、社会、文化、芸術など過去の人間の営みの全てを対象としている。自国の歴史をより深く学び、先人の苦労や文化のユニークさと普遍的な価値を知れば、自ずと国を思う心と誇りは育ってくる。そしてそれを世界に紹介したいという気持ちも沸いてこよう。

 しかし、自虐的な内容を学べば、それも失いかねない。自国の歴史を愛情を持って、しかも客観的、公正に記述した教科書の作成が求められることは言うまでもない。

 また教える側も、ただ暗記をさせるのではなく、大河の流れとして歴史の面白さ興味深さを伝えることができなければならない。

 歴史見る目を育てよ

 歴史は化石ではなく、現在に繋がっている。歴史の結実として、今の自分たち、そして日本が存在するということを教えながら、歴史を見る目を育ててほしい。

(1月30日社説)