小紙「ワシントン発 ビル・ガーツの眼」は…


 小紙「ワシントン発 ビル・ガーツの眼」は、中国のさまざまな軍事・外交的な動きについて最新情報を提供しているが、昨日付は深海の軍事利用推進を取り上げていた。中国が世界の覇権を狙うとすれば、当然そうするだろう。

 ガーツ氏によると、中国は水深1000㍍以上の深海で使用可能な兵器の開発を進めている。南京大学の研究センターと連携する軍事研究者が昨年12月に深海の軍事利用計画を発表。人工知能を使用した無人潜水艦、水中空母、深海兵などだ。

 中国の非対称戦能力の強化で、最近は宇宙とサイバー空間での軍事的な動きに特に目がいく。日本の新防衛計画大綱でも宇宙やサイバー空間での防衛が挙げられている。しかし、深海の重要性をわれわれは十分認識していないのではないか。

 深海での活動は高い水圧が大きなネックだが、それを克服すればさまざまな可能性が広がる。中国が深海の価値を認識したのは、東シナ海などの水深が200㍍ほどで浅いことがあるだろう。そんな浅い海では、潜水艦の動きもすぐにキャッチされる。そのため、より水深のある南シナ海の聖域化を狙って、人工島などを造り軍事基地化した。

 それに比べ、日本はすぐ近くに2000㍍を超す深海がある。恵まれた分その価値に十分気付いていないと言える。

 深海底には海底ケーブルが横たわっており、国際通信の約99%を担っている。中国が海底ケーブルを標的にしないとは言えないだろう。