全国で2000棟(約7000世帯)を超える住宅で…


 全国で2000棟(約7000世帯)を超える住宅で施工の不備が発覚した大和ハウス工業の重役が記者会見を行った。

 「設計担当者が建築基準法など制度への理解が不十分だった」「(コスト削減や工期短縮など)合理化目的で行ったものではない」「安全性は全く問題ない」と。どうも、謝罪というより釈明会見だった。

 特に「安全性に問題はない」というのは、“加害者側”が口に出すことではないだろう。施工基準が満たされていなくても、発覚しなければいい――というように聞こえてしまう。

 賃貸アパート大手レオパレス21の施工不良問題に続き、業界トップクラスの企業が引き起こした不正で、住宅への不信感は募っている。これらの企業に「不具合に対する消費者のクレームは、個々に対処していけば、大きなトラブルに発展することはない」という安易な考えが共通してあったとも聞く。

 以前は家電業界にもあった。2005年に松下電器(現パナソニック)は、石油温風機の欠陥構造による死亡事故を起こした。個々のクレームに対応したが、修理後も事態の深刻さを認識できずに放置し大事にいたった。家電業界はこの事件に危機感を抱き安全意識を高めていった。

 今回発覚した住宅業界の一連の不祥事は、少子高齢化による住宅需要の先細りの現状も反映しているようだ。加速する少子化で住宅産業の行く末は楽観できず、安全意識の綻びの拡大が懸念される。