ゲーム即「悪」だとは言わないが、問題は…


 ゲーム即「悪」だとは言わないが、問題は深刻だ。スマホゲームなどオンラインゲームをやり過ぎ、1日の大半がゲーム漬けとなり引きこもってしまう疾患が近年、若年層を中心に広がっている。

 ついには日常生活にも深刻な支障を来す人が世界的に増加中で、世界保健機関(WHO)も「ゲーム障害」としてアルコールや薬物、ギャンブル依存と同位の疾患として認めた。

 もともとゲームは楽しいもので、近年は運動と合体したゲームが登場したり、リハビリに活用されたりするほか、ボケ防止や脳の活性化を促すことにもひと役買ってきた。だが、ひとたび依存症に陥ると、その泥沼から脱け出るのは容易でない。

 WHOは5月の総会で疾患として正式決定するが、十分な治療や支援体制を確立しているとは言い難い。『ゲーム脳の恐怖』の著者である元日大教授の森昭雄氏は、ゲームに嵌(は)まった学生の脳波が認知症の高齢者と同じ波動を示したことから「ゲーム脳」という言葉を生み出した。

 ゲームで複数の子供が遊んでいても、その間に会話がほとんどない。こうした非言語性のコミュニケーションだけでは、ものを深く考えることが苦手となり、人の話も聞けない。何より善悪の判断や自己コントロールを司(つかさど)る脳の前頭前野が破壊され、ゲームをやらないと勉強も仕事も食事も手につかなくなるという。

 新しい社会生活をスタートし、ほっとするこの時期に新社会人、新入生は特にご用心を。