桜が咲いてそろそろ見頃という時に雪が降った…


 桜が咲いてそろそろ見頃という時に雪が降ったり、不順な天候が続いている。「花冷え」という乙な言葉があるが、それも度を超すと、いったい地球はどうなっているのかと思う。

 そう思うのは人間だけではないはずだ。野生動物は気温の変化をもろに受ける。魚も水温の変化に敏感だ。

 冬の間、沖の深場にいたクロダイは、春になって水温が上昇すると産卵のため浅場に入ってくる。いわゆる乗っ込み、クロダイ釣り師が一年で最もエキサイトする時期である。

 気流子も乗っ込みのクロダイを狙って、先週江の島に出掛け、まずは馴染(なじ)みの釣り餌店で釣況を聞いてみた。店主曰(いわ)く「いつもならとっくに乗っ込みが始まっている時期だけど、どうもはっきりしない」。店頭の魚拓も良型のクロダイは数えるほどだ。

 気温に比べ海水温の変化は緩やかだ。4月に入って関東では気温が10度前後落ち込んだりしているが、水温の変化はほぼ1度以内だ。しかし、魚たちにとっては相当に大きいようだ。

 釣り雑誌であるベテラン釣り師が、クロダイが釣れだすのは水温が16度以上に安定した時と書いていた。平塚沖に設置された東京大学海洋アライアンス機構が管理する観測塔のサイトは波高や海水を1時間ごとに表示しているが、ここ数日の気温の急降下で、16度近かった相模灘の海水温も15度に下降していた。クロダイが釣れないこと以上に、不安定な気候がここ数年続いているのが気になるところだ。