米国映画界最大の祭典、第91回アカデミー賞…


 米国映画界最大の祭典、第91回アカデミー賞の作品賞は「グリーンブック」(ピーター・ファレリー監督)が受賞し、脚本賞と助演男優賞も受賞した。3月1日から日本でも公開が始まっている。

 小紙2月22日付で映画の紹介記事が掲載されたが、「トロント国際映画祭観客賞受賞など10受賞59ノミネート」という一節があった。これを読んだ映画宣伝会社の担当者から「数の出典は?」と不思議な問い合わせ。

 「パンフレットに記載された数字を写しました」との返答に納得していたが、昨年12月17日現在のもの。数字は刻々変わり担当者は2月28日、新しい数字を教えてくれた。「現在は63受賞139ノミネート」と。

 短期間で一気に増えたのだった。舞台は1962年の米国で、黒人差別のジム・クロウ法が施行されていた時代。イタリア系白人の用心棒(ヴィゴ・モーテンセン)と黒人ピアニスト(マハーシャラ・アリ)が一緒に演奏旅行をする話だ。

 ファレリー監督はコメディーの名手で、2人の異なった個性を鮮やかに描いていく。用心棒は妻と子供2人がいるが、親類も集う大家族。大食漢で、がさつで、無学だが、腕っ節が強い。

 一方、黒人ピアニストは音楽、心理学、典礼芸術の博士号を持つエリート。9歳でレニングラード音楽院生となり、18歳でデビューした大天才だ。上品でおしゃれだが孤独な寂しがりや。2人の名優による痛快なアンサンブルは、受賞を納得させる。