「親日残滓の清算も外交も未来志向で進む…


 「親日残滓の清算も外交も未来志向で進むべきだ」。韓国の文在寅大統領が「三・一独立運動」から100年を記念した式典で語った言葉である。予想より日本批判は抑えられた演説だった。

 未来志向で進むべきだというのは大賛成だ。しかし「親日の残滓」「親日の清算」など、韓国では「親日」という言葉が「反民族」つまり「悪」の意味で使われ普及していることに、困惑を覚える。韓国語の「親日(チンイル)」も日本と同じ漢字を元にした言葉なのだが。

 この問題については、菅義偉官房長官が「戦前および戦中に日本当局に協力した関係者を反民族主義者として批判する用語」と記者会見で説明。「日本語の『親日』とは意味が異なると理解している」との見方を示した。

 「親日=反民族」が強固に定着した背景には、盧武鉉政権時代に制定された「親日罪」(親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法)があるようだ。

 盧政権は日本統治下で活躍した主だった人々を「親日反民族行為者」としてリストアップした。「漢江の奇跡」を実現した朴正熙元大統領までが親日のレッテルを貼られたことからも、保守派攻撃の意図から出たものとの指摘がある。

 それにしても、普通に日本人や日本文化に親しむことを指す言葉は、どうなっているだろう。韓国語の堪能な同僚に聞いても、頭をひねるばかり。そういう言葉が普通に使われるようにならなければ、文氏の言う「本当の友人」になるのは難しいのではないか。