福島県須賀川市に藤沼湖自然公園がある。…


 福島県須賀川市に藤沼湖自然公園がある。1949年に農業用に造られた人造湖で、周囲に温泉や神社があり、庭園としても整備されて、キャンプ場ともなっていた。

 釣り人が集う湖でもあった。気流子も旅に出る時釣り竿を持参したので、岸辺でミミズを取って餌にし、釣り糸を垂らしてみた。ブルーギルが群れていて次々かかってきた。湖に流れ込む細流を覗(のぞ)いたらウグイの群れ。

 ところが2011年3月の東日本大震災で決壊し、濁流が押し寄せた下流域で死者・行方不明者8人を出し、22軒の家が全壊した。田植えもできなくなった。耐震基準のない時代にできたダムだった。

 その年の秋、麓の入り口が閉鎖されていたので、山側の裏道から入って湖の様子を見てみた。岸辺の歩道は破壊されて波打ち、護岸のコンクリートもズタズタ。湖に水はなく、草の生えた底を小川が流れていた。

 震災の被害の規模が甚大だったので、この湖の被害は地元でしか知られてこなかったようだ。その後、復興が進められ、16年12月に決壊した堤体が完成。17年11月にはそこを通る道路工事も完了した。

 試験湛水(たんすい)で堤体の安全性が確認されたことで、通行止めが解除され、3月1日から8年ぶりに湖畔を一周できることとなった。被災前は毎年、湖畔を周回するマラソン大会が行われてきたそうで、この5月にはウオーキングイベントが開かれる。魚釣りも可能になるだろうが、もう外来種を入れてはいけない。