匿名で登場する人物らがメディアについて…


 匿名で登場する人物らがメディアについて論じる座談会がある。大御所などを斬る本音の批判が結構受けるのだが、月刊誌「正論」に連載の「メディア裏通信簿」もその一つ。

 3月号ではフォトジャーナリストの広河隆一氏らを槍玉(やりだま)に挙げたほか、平成最後の元日付朝刊に朝日が掲載した「昭和天皇 直筆原稿見つかる 晩年の歌252首」のスクープ記事にも吟味を加えている。

 朝日は社会面の関連記事でいかにも戦前暗黒史観的な昭和天皇像を伝えていると前置きした「教授」が「直筆原稿には日米安保条約改定を行った岸信介元首相を悼む3首があった」とする世界日報1月3日付の報道を紹介。

 原稿には昭和天皇の追悼のお言葉もあったのに、ここには焦点を絞らず「自分たちの政治的な主張に都合のいいところだけに光を当てていた」と朝日スクープ記事の中身の偏りを指摘したのである。

 「先生」も、朝日が続報(1月7日付)で「8月15日『靖国問題』うれう」などと書いて「靖国参拝反対の持論に引きつけていた」ことに言及。「こうやって読者は知らず知らずのうちに、マスコミの情報に踊らされていく」と指摘している。

 朝日はスクープしたあと直筆原稿の写真を各社に提供したようだが、小紙の写真は独自に入手したものだ。記事も朝日があえて伝えなかった重要な事実に言及している。掲載日で朝日に遅れたものの、朝日が歪(ゆが)めた昭和天皇像を正したのである。