「早春賦とは風の音水の音」(田上頼子)…


 「早春賦とは風の音水の音」(田上頼子)。春を告げるものと言えば、梅の花やフキノトウの芽、太陽の柔らかな光、ぽかぽかとした陽気などがある。冬がいつ終わり春がいつから始まるのか分からないが、こうした兆しが出てくるうちに季節が変わっていることに気付かされる。

 冬から春への過渡期は、寒かったり暖かかったりと不安定と言ってもいい。春が来たと思っていると突然雪が降ったりするが、すぐに暖かさが戻って来る。

 このような時は、体調を崩しやすい。特に、高齢者は気温の急激な変化に体内の調整が追い付かないので気を付ける必要がある。

 冒頭の句は、植物ではなく、風や水の音に春を感じたというものであるが、聴覚的な表現は新鮮な感じがする。冬の厳しい風の音から少し緩んだ気配の音、そして凍った雪が解けて水の流れが速まり岩を打つ瀬音など、音だけで春の到来を感じたものだろう。唱歌の「早春賦」を重ねているので、なおさら音楽的であると同時に絵画的なイメージがある。

 稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』には「早春」という季語について「春未だ浅いころのことをいう。寒が明けたといっても暦の上のことで、まだまだ寒さが残っているころである。その中にも、空の色、木々のたたずまいなどに、どことなく春の訪れが感じられる」とある。

 散歩していると梅の花を見掛ける。孤高の花といった気品が感じられ、どこか超然とした空間がそこにある。