釣り人にとって、カワハギは人気のターゲット…


 釣り人にとって、カワハギは人気のターゲットだ。白身の身そのものも美味(おい)しいが、キモ(肝臓)は酒の肴(さかな)に最高で、釣り人以外にも珍重されている。

 カワハギによく似たソウシハギという魚がいるが、こちらは内臓とくに肝にパリトキシンという猛毒を含んでいる。そのソウシハギの可能性のある魚が三重県内のスーパーで販売され、大騒ぎとなった。2匹販売されたうち、回収できなかった1匹は、買った人が家族3人で煮て食べてしまった。

 保健所が調査しているが、体調に問題はないらしい。ソウシハギには毒を持たない個体もいるらしく、不幸中の幸いと言うべきだろう。

 それにしても、どういう経路でスーパーの店頭に並べられたのか。当然まず漁師が選別するはずだが、不注意だったのか、それとも毒魚についての知識がなかったのか。スーパーの担当者もそれを見分けることができなかった。不注意は困ったことだが、魚を扱う人に知識がなかったとすれば、問題はより大きい。

 毒を持つ魚ではフグが一番知られているが、釣りをしているとアイゴやゴンズイなど猛毒を持つ魚が時々釣れる。どちらも背びれに猛毒を持っている。釣り人の中には背びれをカットして持ち帰る人もいる。毒魚の扱いは釣り人の方が心得ている。

 5年ほど前、南の暖かい海に棲(す)むソウシハギが、関東地方の海でも釣れるようになったという新聞記事を読んだ記憶がある。温暖化は毒魚の生息域も変えている。