いまでこそトルコ人はアナトリア半島を国の…


 いまでこそトルコ人はアナトリア半島を国の領土とするが、元はモンゴル高原にいた遊牧民。長い歴史をかけ、シルクロードを移動してきた。中国の新疆ウイグル自治区や中央アジア諸国、さらにアゼルバイジャンなどは、みなテュルク系民族の国だ。

 こうした国々の民族楽器の演奏家らが集まって結成されたテュルクソイ(国際テュルク文化機構)民族楽器オーケストラの演奏会「テュルク世界の大いなる遺産」が、東京、神奈川の4カ所の会場で開かれた。

 テュルクソイは、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、トルコ、トルクメニスタン、ウズベキスタンの6カ国を主要メンバーとして1993年に設立された。今回はその結成25周年を記念するもの。

 テュルクソイはトルコの首都アンカラに本部を置くことから見ても、トルコが主導し設立されたようだ。当時トルコはソ連崩壊によって独立したテュルク系の国々に対する肩入れを強めており、汎トルコ主義の外交に力を入れた。しかしロシアの影響が依然強く、トルコの呼び掛けに中央アジアの国々は思うほど乗ってこなかった。

 2016年にこのオーケストラが結成されたのは、トルコが再び広く緩やかな汎トルコ主義を掲げ、テュルク系民族との関係強化を模索し出した表れのようにも思える。

 あまりに政治的外交的な見方かもしれない。しかし、いかにも遊牧民的な音楽を聴きながらそんな思いを打ち消すことができなかった。