日本航空の副操縦士が10月、英ヒースロー空港…


 日本航空の副操縦士(42)が10月、英ヒースロー空港で乗務前に規定値の9倍以上のアルコールが検出されたとして逮捕され、旅客便に遅れが発生した。

 どの業界にも恥さらしはいるものだと思ったが、不心得者はこの副操縦士だけではなかった。全日本空輸やスカイマークでも、機長が飲酒の影響で予定していた便に乗務できず、遅延が発生した事例があった。日航と全日空はこの問題で国土交通省に報告書を提出し、両社のトップが謝罪した。

 航空法では、乗務員が「飲酒の影響で正常な業務ができない恐れがある場合は乗務してはいけない」と規定している。しかし呼気や血液中のアルコール濃度に関する明確な基準値はなく、検査方法は各社任せだ。

 また日航はこれまで、パイロットがアルコール検査で基準値を超え、遅延が発生した場合、利用者に対して「(パイロットの)体調不良」と説明していた。多くの生命を預かるパイロットが自己管理できないようでは失格だ。それをかばう会社も同罪だ。

 日本は飲酒に寛容な国であると言われる。そんな風潮が職場にも及んでいて、酒に関する規則破りに対して目こぼしが当たり前になっていたとすれば言語道断だ。酒の害を甘く見てはいけない。

 しかし、酒類の自動販売機やテレビCMの多さは相変わらず。若い女性の飲酒率は伸び、大酒飲みを「豪傑」と呼んだりする。豪傑には程遠く、種々の社会的、家庭的な悲劇が繰り返されている。