いつの頃からだろう。大手コーヒー・チェーン…


 いつの頃からだろう。大手コーヒー・チェーン店内で利用客のほとんどが、プラスチックの蓋(ふた)の付いた紙コップを利用するようになったのは。先日もある店で、わざわざ「マグカップでお願いします」と言うしかなかった。

 ファストフード店の飲み物は昔から紙コップを使っていたが、コーヒー・チェーン店のそれは、もともとはテイクアウト用だった。蓋付きの紙コップでは、まずコーヒーの香りを十分味わうことができない。それにあの小さな吸い口から啜(すす)っては、味わいは半減するに違いないのだが。

 そんな店の中では、紙コップのコーヒーを飲みながらパソコンを開いて仕事をしている人もよく見掛ける。味などあまり問題ではなさそうだ。蓋付きで飲む方が今風でファッショナブルという観念が若い人たちの間に定着した感がある。

 来年10月に予定されている消費増税では国税庁が、店が販売するコーヒーチケット(回数券)について、持ち帰り用と店内用の2種類を用意するよう提案している。

 販売時に利用客がどこで飲むか分からないからだ。店内で飲む場合は10%の消費税がかかるが、持ち帰りの場合は軽減税率8%が適用される。

 それはそうと現金で買った場合でも、どちらも紙コップがほとんどだから、どうするのだろう。店内用とテイクアウト用とでコップの色を変えたりするのだろうか。コーヒー一つとってみても軽減税率というのは煩雑な問題を抱えている。