リスクはあっても、事を前に進めなければ…


 リスクはあっても、事を前に進めなければならない場合はある。でも、この場合はどうか。安倍晋三首相が中国の習近平国家主席と会談し、日中関係を新段階に進める「競争から協調へ」など新3原則を確認した。

 27日付の新聞1面トップ見出しは産経「首相 中国の邦人拘束提起」、朝日「日中、経済協力で改善強調」としたほかは「日中新時代へ3原則」(日経)をうたって関係改善への期待をにじませた。

 だが、中面の記事からは微妙なニュアンスが伝わってくるから新聞は注意深く読みたい。朝日ですら「日中融和を前面 残る火種/利害一致 友好ムード演出」(時時刻刻)。毎日は「日中『新段階』強調/中国『風よけ』狙う」(クローズアップ)と、巨額の債務を負わせる新興国援助への批判の風除(よ)けに日本を引き込む中国の意図を透かす。

 経済を前面に押し出した日中協調でも、北京のフォーラムに500人規模で参加した日本企業は、米中貿易戦争を見据え「半身で経済協力する姿勢」(日経)だという。

 首相の対中前のめりに警鐘を鳴らしてきた産経は、経済協力推進には理解を示しつつも「バブル、技術流出 リスク大」と中国経済に頼り過ぎるリスクが大きいことを警告。

 今回、終了を宣言した中国への政府開発援助(ODA)が「戦後最大級の失敗」「友好寄与せず 覇権志向の大国生む」(古森義久氏)だけに終わったことを教訓に、友好ムードの演出に乗せられないようにしたい。