英国財務省で「ネズミ捕獲長」の公式の肩書…


 英国財務省で「ネズミ捕獲長」の公式の肩書を持つ猫が行方不明になり、一時省を挙げての大騒ぎとなったという。ビクトリア時代の大宰相と同じ名前を持つ黒猫「グラッドストン」は、幸い職員の捜索によってすぐに見つかった。

 首相官邸のあるダウニング街にはネズミが多いことから、16世紀ごろから駆除のために猫を「雇う」習慣が続いているという。首相官邸には「ラリー」、外務省には「パーマストン」が、現役のネズミ捕獲長として配属されている。

 首相官邸のラリーは、2016年7月に欧州連合(EU)離脱決定の責任を取ってキャメロン首相が辞任した時も残留した。在任中ラリーに優しくしていないと一部報道されたキャメロン首相は辞任演説で、膝にラリーを乗せた写真を見せ、この猫を可愛(かわい)がっていたと語った。

 どれも動物愛護先進国、英国らしいニュースである。

 ネズミに悩まされるのは、英国の官庁街にある建物の歴史の古さの証明でもある。ダウニング街や主要省庁が集まる、ロンドンの霞が関「ホワイトホール」の建物は、みな由緒ありげな古いものばかりである。近代的なオフィスビルと違って、ネズミたちにとっては住みやすい空間がたくさん残っているに違いない。

 情報化時代の今、その古い建物の中にはさまざまな電線やケーブルが張り巡らされているだろう。ネズミがかじったりすれば、業務に支障を来す恐れもある。たかがネズミと言っていられない。