福島県にやって来て吾妻スカイラインを…


 福島県にやって来て吾妻スカイラインをドライブしようとしていた。地元紙を広げると、吾妻山の麓の福島市土湯温泉町で、犬と散歩をしていた70代の男性がクマに襲われ、ケガをしたと伝えていた。

 現場は温泉の中心部から北に250㍍離れた、女沼に向かう山林の道。男性は子グマ2頭に遭遇し、追い払おうとしたところ後から出てきた親グマにかまれたという。県内での人的被害は今年初めて。

 ところで驚いたのはクマの目撃件数の多さだ。同県では9月5日現在で469件に上っている。前年の同期に比べて180件の増加。県内の各地方でツキノワグマ目撃マップを作成している。

 土湯温泉からさらに下の荒川沿岸は目撃情報の多い所。かつて、福島市の浄土平ビジターセンターの職員から「吾妻小富士の下がクマの生息地になっている」と聞いたことがある。餌の豊富な山麓に下りて行くらしい。

 目撃情報の多さに比べて人的被害が少ないのは、県による情報がきめ細かいためであろう。会津地方振興局ではクマの行動パターンを分析している。好奇心旺盛で活発に動き回り、里を徘徊(はいかい)するのは若い小型のクマ。

 老齢で大型のクマは被害のピークが過ぎた秋口に出没し、餌のある場所を知っていてピンポイントで現れる。子グマと遭遇した場合は、近くに親グマがいるので速やかにその場を離れるようにと注意を促す。かまれた男性はこれに反した行動を取ってしまったのだ。