この夏は世界的に記録的な猛暑で、あちこちで…


 この夏は世界的に記録的な猛暑で、あちこちで自然災害が頻発している。ラオスでは先月建設中の水力発電ダムが決壊し、34人が死亡、97人が行方不明となり、6000人が避難生活を続けている。

 ダム建設はSK建設など韓国企業とタイ、ラオス企業との合弁会社が進めていた。決壊の原因について会社側は、予想を上回る大雨が降ったためとしているが、欠陥建築だった可能性もある。

 ダムの完成予想図を見て台湾の烏山頭ダムを思い出した。日本統治時代に日本人技師・八田與一が建設し、それまで水利が悪く不毛の地と言われていた台湾南西部の嘉南平野を穀倉地帯に変えた。このダムは外観が巨大な土手のようで建設中のラオスのダムと似ているのである。

 烏山頭ダムはコンクリートをほとんど使わないセミ・ハイドロリックフィルという工法で造られた。韓国の聯合ニュースによると、ラオスのダムは土を積み上げた「アースダム」というものだ。

 そこでまた思い出したのは韓国ソウルのオリンピック公園内にある百済時代の遺跡、夢村土城。高句麗軍の攻撃に備えて漢江脇の丘陵を利用して造られた土城だ。この城壁を造る際に用いられたのが、土を突き固める版築という工法で、アースダムと基本原理は同じだ。

 時間をかけて造った土城だったが、結局、高句麗軍によって陥落した。自然の水力は高句麗軍の比ではない。もし手抜き工事であれば、ダムはひとたまりもないだろう。