七夕を挟んだ3日間に西日本を中心とする…


 七夕を挟んだ3日間に西日本を中心とする広い地域を襲った記録的豪雨の死者が100人を超え、豪雨災害の死者数としては平成最悪となった。被災地は土砂崩れや河川の氾濫(はんらん)、堤防の決壊などで川と道路、田畑の区別がつかない一面ドロ沼。

 死者や行方不明者などのほか孤立した集落も続出した。まずは被災地や避難所に向けた食料や水、寝具などの生活物資の支援に万全を尽くしてもらいたい。

 同時に、電気やガス、水道、通信、道路などのライフラインの復旧も急務だ。行政には、不自由な避難所生活を余儀なくされる被災者、特にお年寄りの心のケアなどきめ細かな支援も求めたい。

 今回の豪雨で、気象庁は事前に「数十年に一度」の現象と判断し、広島、岡山、福岡など9府県に大雨特別警報を出し、厳重な警戒を呼び掛けた。特別警報の発令は今回で8例目だが、9府県に及ぶのは運用を開始した2013年以来最多だ。

 それでも、この9府県以外の愛媛、高知両県に特別警報が発令されたのは、多くの死者が出た後だった。雨の激しさ、範囲の広さ、長い降雨期間による雨量が大きく想定を超えていたからだろう。

 日本列島はこの後も、集中豪雨や台風などの要警戒期が続く。特に、発達した雨雲(積乱雲)の列が長時間にわたり同じ場所に停(とど)まって激しい雨を降らせる線状降水帯の発生には警戒したい。今回の豪雨もこれが同時多発的に発生したからとみられるのだ。