今月の大阪府北部の地震。地震となれば地震…


 今月の大阪府北部の地震。地震となれば地震学者の出番だ。思い出すのは東日本大震災の時。特別報道番組(生放送)で高齢の地震学者が何かの映像を見て「非常に面白い」と言った。

 本音が出たのだろうが、一視聴者として聞いていて「まずい」と思った。司会者はそれとなく注意し、学者も以後この発言は控えた。

 だが、「面白い」は学者の発言としては了解可能だ。めったにない大地震を面白がるぐらいでないと研究はできない。ただ、それは学者内部の話。生放送で言うべきことではない。

 「地震学の観点からは、この現象は極めて重要だ」ぐらいであればOKだったか。地震学者は「地震以外に関心がない地震バカ」。「××バカ」は、古代エジプト学であろうと、藤原道長の研究者であろうと同じだ。

 対して、テレビ司会者(最近はMCなどという)は特定の分野に偏ってはいけない。重要なのは時代の流れであり、番組の進行だ。タイミングを計って、自然に見えるように流れを切り替える能力が必要となる。地震などの報道番組は「専門バカ」と「番組進行者」との出会いの場だ。

 周囲の空気を読むのが苦手だったから学者になった者と、空気を読むのは当たり前で「しゃべりもうまい」と自覚していたからこそ、今司会者の地位にある者との偶然の組み合わせがそこにはある。近ごろはテレビに出てバカにされるのを楽しんでいるタレント学者も多いが、それはそれでやり過ぎは禁物だ。