福島第2原発の全号機について東京電力…


 福島第2原発の全号機について東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長が廃炉を表明した。稼働可能な原発は減り続ける見通しで「重要なベースロード電源」とする政府のエネルギー基本計画達成に赤信号がともった。

 経済産業省幹部は「原発のエネルギー効率の高さや二酸化炭素を排出しない特性などについて議論を深める必要がある」と指摘。省エネは国民一人ひとりの心掛けが求められる大きな課題だ。

 1970年代の石油ショック時を振り返ると、国が一丸となって省エネに没頭する姿は見事というほかなかった。79(昭和54)年には省エネ法(エネルギー使用合理化法)が施行された。

 当時、東電が募集した省エネモニターなるものがある。その実践例として、風呂は家族4人が続けて入る、夜にテレビを見る時は二灯式の照明の片方のみ使う、雨の日以外は車で買い物に出ない――などがあり、それらが大真面目に実践された。

 当時の大平正芳首相が半袖の省エネルック姿で範を垂れるというエピソードもあった。省エネは衣食住全般に及び、日本は石油ショックを先進国の中で最も巧みに乗り切り、以後は海外から一目置かれる環境大国への道を歩んだ。

 翻って今日、原発や再生可能エネルギーの開発をめぐって、お上任せの感が少なからずある。当時と比べ、省エネや地球環境保護について国民の連帯感がいまひとつ、というのは気流子だけの思いではなかろう。