世界日報 Web版

米朝首脳会談の共同声明では、完全非核化…


 米朝首脳会談の共同声明では、完全非核化・体制保証が謳(うた)われたものの「完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄(CVID)」の文言は消え、非核化に向けた具体的なプロセスへの言及はなかった。トランプ米大統領は「素晴らしい」を連発したが、宣言の中身はあまりにも漠然としている。

 片や北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が得たものは大きい。第一、実質的な犠牲をほとんど払わず、年来、渇望した体制保証が転がり込んできた。また米韓合同軍事演習について、トランプ氏は対話中の実施は「不適切だ」と述べ、当面は行わない考えが示された。

 首脳会談の冒頭、トランプ氏は「われわれは素晴らしい議論をし、大きな成功を収めるだろう。光栄なことだ。われわれが素晴らしい関係を築くであろうことに疑いはない」と述べた。正恩氏は「ここまでの道のりはなかなか容易ではなかった。われわれは全てを乗り越え、この場に来た」と応じていた。

 またトランプ、正恩両氏は報道陣の前で散歩をするなど友好を演出していた。終わってみれば、トランプ氏は腹に一物の正恩氏に腹を見透かされ、してやられたという印象が拭えない。

 今後は米朝間で非核化のプロセスをめぐって、タフな交渉が続くことになる。その過程で日朝首脳会談も政治日程に上り、拉致問題が焦点となるはずだ。

 非核化へ実質的な成果を挙げることができるよう、念入りな準備を怠ってはならない。