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1903年の全米でのアメリカンフットボール…


 1903年の全米でのアメリカンフットボール(大学)による死者数は44人との驚くべき記述に出会った(鈴木透著『スポーツ国家アメリカ』中公新書)。

 相手の中心選手に対して集団でタックルし、試合に出ることができないようにするなどといった行為の横行が死者数増加の原因だったと著者は分析している。

 時の大統領セオドア・ルーズベルトが、この競技の粗暴性に強い懸念を示したほどだった。その後ルールを明確化して厳格に執行することで、アメフットは、野球、バスケットボールと並ぶ米国を代表するスポーツとなった。

 もともとスポーツは「余計なこと」をするものだ。一部を除いて、1000㍍を短い時間で走り抜けることが生活上の実利をもたらすことはない。加えてスポーツでは、普通に生活する時の数十倍もの肉体的負担が発生する。体と体が直接接触することの多いアメフットの危険性が高いのは当然のことだ。

 人間のあらゆる営みには危険が伴う。ゼロにすることは不可能だが、ゼロに少しでも近づける努力は必要だ。スポーツがそれ自体だけで成り立っているはずもない。スポーツに関わる社会全体の意識変革が不断に求められる。

 今年4月1日に「日本体育協会」は「日本スポーツ協会」へと名称を変更した。「体育」から「スポーツ」へ。名前が変われば全てが変わるとまでは言えないが、スポーツを取り巻く環境の整備がさらに進むことを期待したい。