俳人協会賞、同新人賞、同評論賞の授賞式が…


 俳人協会賞、同新人賞、同評論賞の授賞式が、東京の京王プラザホテルで行われた。俳人協会賞を受賞したのは句集『カムイ』の櫂未知子さんと句集『銀座の歩幅』の須賀一惠さんだ。

 選考委員の柏原眠雨さんは、櫂さんの作品について「季語を十分理解し、空間を実感できる堅実な写生句」と評価。「簡単な体・簡単服の中」という作品など「発想のユニークな楽しい句」と称(たた)えた。

 櫂さんは、1年以上歳時記の研究に関わり、「季語についての正しい知識と使い方を知るようになった」という。それ以前の句では季語をでたらめに使っていたため「怖くて出せなかった」。

 須賀さんは大正15年生まれで、同賞の受賞者の中で最高齢だ。柏原さんは「情緒のこもった端正な句」「滑稽でユーモアのある句」と紹介。「銀座には銀座の歩幅夕永し」と東京の風土を詠んでいた。

 同新人賞も大西朋(とも)さん、黒澤麻生子(まきこ)さん、白石渕路(ふちじ)さんと皆女性だ。評論賞の今井聖(せい)さんと本井英さんだけが男性。句集では女性が圧倒的な強みを見せた。その背景を鷹羽(たかは)狩行(しゅぎょう)名誉会長が語る。

 鷹羽さんは15年間会長を務めたが、俳人協会との関わりは57年間に及び、今回功労者として称えられた。その間を三つの時期に分けて発展過程を解説したが、担い手の多くが女性だった。現在1万5000人の会員のうち女性は1万人。女性が余暇を俳句研究に投入した時間と質の高さ、それが受賞者の顔触れとなっていたようだ。