「いちまいの切符からとは春めく語」(後藤…


 「いちまいの切符からとは春めく語」(後藤比奈夫)。東京ではここ数日、急に暖かくなって昼間は暑いくらい。先日井の頭公園を散策した時には、まだ少し寒いぐらいだったが、小さな枝ぶりで紅白の梅が咲いていた。

 井の頭公園の池は現在、護岸改修工事や水抜きの「かいぼり」をしていて周囲がシートで覆われている。人々の姿もそれほど多くはなく、寂しい限り。工事は今月末ごろまでだそうだが、水のほとんどない様子も不思議な印象だ。

 テレビ東京で池の水を全部抜くという人気番組がある。この場合は、かなり短期間で水を抜き、スリリングなドキュメントとなっている。基本的に在来種と外来種の水生動物を捕獲して在来種を放流するもので、外来種に侵食され、脅かされている状況が浮かび上がる。

 しかし外来種とはいうものの、日本列島の山野に生息している動植物も、過去をさかのぼっていけば海外からやって来たものも多い。梅も中国渡来だ。日本の自然になじんでいるので、外来種と言われてもピンとこないというのが正直なところ。

 問題は、ブラックバスなどの外来種が在来種を駆逐するパワーで繁殖していることだ。在来種を保護する上で、外来種の駆除はやむを得ない。井の頭公園の池でも、以前のかいぼりで生態系回復の効果が見られている。

 とはいえ、グローバル時代の昨今、梅のように外来種が在来種とうまくすみ分け、共存できれば望ましいのだが。