スパイとまでは言わないとしたら、「エージェント」…


 スパイとまでは言わないとしたら、「エージェント」ということなのだろう。辞書には代理人または仲介業者の他に「国家の秘密業務で働く者」との意味もある。工作員と言い換えてもいい。

 米国の連邦大陪審が2016年の大統領選に不正介入したとしてロシア国籍の13人他を起訴した。その一方で、ロシアほど露骨かつ稚拙な干渉ではなく、その巧妙な工作のため警戒も緩かった中国の「孔子学院」に、米連邦捜査局(FBI)の調査のメスが入ったことを「ビル・ガーツの眼」(小紙16日付)が伝えている。

 主に大学内に設置されてきた孔子学院は、表向きは中国語と文化を教える教育機関との触れ込みだが、実態はかなり違う。中国共産党のプロパガンダ機関、または文化・教育工作機関としての裏の顔のあることが内部告発で分かったからだ。

 そのドキュメンタリー映画「偽りの儒教」と中国系カナダ人制作者のドリス・リュウ氏のインタビュー記事(昨年12月4日付掲載)は、孔子学院の欧米で広がることへの懸念と閉鎖の動きがあることを伝えている。

 04年から一昨年末までに世界130カ国・地域で512の孔子学院が開設されてきた。だが、学問の自由などが脅かされることへの警戒感が広がってきた最近になって、シカゴ大学など欧米の13の大学などが提携を解消し、閉鎖されている。

 日本では早大など14大学で設置されている。全く無警戒だというが大丈夫か。