世界日報 Web版

イタリア生まれのオペラ指揮者、アルベルト…


 イタリア生まれのオペラ指揮者、アルベルト・ゼッダさんは、1960年代に始まるロッシーニ・ルネサンスの火付け役となった人物。彼なくしてはロッシーニ全集の出版も、ペーザロでのロッシーニ・オペラ・フェスティバルもなかった。

 音楽学者、フェスティバルの芸術顧問、教育者と多方面で業績を残した。昨年3月、89歳で亡くなったが、日本で指揮した機会も多く、2016年に東京と大阪で行った演奏会が最後の指揮となった。

 先週末、東京の浜離宮朝日ホールで「巨匠アルベルト・ゼッダに捧ぐ!」という演奏会が開かれた。主催は日本ロッシーニ協会で、出演した天羽明恵さん、脇園彩さん、小堀勇介さん、中井亮一さんは、ゼッダさんの愛弟子。

 ピアノが金井紀子さん、ナビゲーターは朝岡聡さんで、ゼッダさんの偉業が演奏と解説で再現される音楽会となった。演奏表現の細かな教育ぶりから、その人柄や、楽譜出版のエピソードまで披露された。

 1959年、米シンシナティで「セビーリャの理髪師」を稽古したが、オーボエ奏者から「その速さでは演奏できない」と抗議された。「あなたの望むテンポで吹けるオーボエ奏者は世界に誰もいません」と。

 彼はニューヨーク・フィルの首席奏者。数年後、ゼッダさんはボローニャ音楽院でロッシーニの自筆譜を閲覧した。そこにオーボエのパートはなく、ピッコロ用に書かれていた。ここからゼッダさんの校訂譜作成が始まるのだった。