師走(しわす)にはいろいろな語源説がある…


 師走(しわす)にはいろいろな語源説がある。よく知られているのは、その年の罪障を懺悔(ざんげ)し、消滅を祈願するために僧侶を招いて法会(ほうえ)を営むので、師が走り回る師走(しはし)り月が師走となったとする説である。

 他に事をなし終える意味の「為(し)果つ」、四季の果てる月の意味で「四極(しはつ)」など、諸説はどれももっともらしく思われる。今年は事をなし終え、四季の果つる先に何が残ったのか。

 技術立国・日本を支えてきた製造業の未来は大丈夫かという不安の広がり。それもきのうきょうに始まったことではない、業界トップ企業による不正の連鎖であるから深刻だ。一昨年は東洋ゴム工業による免震ゴムのデータ改竄(かいざん)。

 これに東芝の不適切会計、三井不動産、三井住友建設、旭化成などが関係した横浜市の大型分譲マンションの傾斜から発覚した杜撰(ずさん)な基礎工事とデータ改竄などの「ごまかし」「インチキ」「デタラメ」続き。

 昨年は目立った不正の発覚がなく打ち止めかとほっとしたが、連鎖の根は深かった。再び今年は神戸製鋼所、日産自動車、SUBARU(スバル)、子会社の行為とはいえ責任は重大な三菱マテリアル、東レと名だたる企業によるデータ改竄や無資格検査などの不正オンパレードである。

 これら企業不正から見えてくるのは経営者、技術者らモノづくりを支えてきた人的資源の著しい劣化問題だが、企業を糾弾する新聞も、日本の劣化まで鋭く洞察して論じてはいない。新聞の劣化も深刻だ。