私事を例に恐縮だが、2人の娘からそれぞれ…


 私事を例に恐縮だが、2人の娘からそれぞれ銘柄米や海産物製品が届いた。ふるさと納税返礼品のお裾分けだという。

 そうか。これがいろいろ論議を呼んでいることは承知していたが、いよいよ身辺にも迫ってきたのだから尋ねてみた。「都内の区などは区民税の減収で大変みたいだよ」と。2人の言い分はこうである。

 「うちらは小学校から高校まで田舎で育ててもらった。つまり、田舎の自治体が住民サービスを提供してきて、大きくなって東京に出たら、納税は東京にと果実だけを収穫されるのでは地方は割に合わないよ。そういうことも考えないとね。地方創生を言っているんだし」。

 もともとふるさと納税は、都市部に集中する税収の偏りを是正するために始まった。その趣旨からすれば模範解答かも。スタート時の平成20年度に81億円だった寄付総額は27年度が1653億円、28年度2844億円と急激に伸びてきた。

 一方、東京都区などの打撃は小さくない。各地の自治体が寄付を呼び込もうと、返礼品の豪華さ競争をエスカレートさせたことへの批判も出てきた。総務省はこの4月に返礼品の調達額を「寄付額の3割以下」とするルールを設けて歯止めをかけるなどした。

 以降、各地の自治体は魅力ある返礼品を揃(そろ)えるのに苦心している。模範解答する一方、2人は育ってきた地方とは別の自治体の返礼品リストを見ながら考えている。「しっかり」なのか「ちゃっかり」なのか。