熊本県に寄せられたアルコール依存症に関する…


 熊本県に寄せられたアルコール依存症に関する電話相談が2016年度に149件に上り、15年度の約2・6倍に急増した。昨年4月の熊本地震に伴う被災ストレスの影響とみられる。

 アルコール依存症になってしまうと家族の悩みは大きい。患者本人は自分が依存症であることを認めたがらず、病院に連れて行くのも難しいため、治療もままならない。

 ごく最近の全国的な調査はないが、厚生労働省研究班の13年統計によると、アルコール依存症患者は全国で109万人と推計される。そのうち専門治療を受けている人は1割に満たない。酒に溺れることの害は小さくなく、テレビで繰り返し酒類の宣伝が行われるのは問題だ。

 特に懸念されるのは、家庭内で多量の飲酒を繰り返す主婦などが陥るキッチンドランカー。昨年の民間調査機関のデータでは、女性のアルコール依存症はここ10年で1・75倍に増加し、40代に限れば「飲み過ぎている人」の割合は男性を超えているという。

 ストレスを抱えながら文字通りキッチンで孤立状態にあり、昼間でも飲む主婦の場合、知らぬ間に酒量が増えていく。最近では家で高齢者介護のストレスを抱え、相談できないでいる女性が少なくない。

 料理研究家の本田桂子さんは、父親の介護が15年続き、キッチンドランカーになった。「ケアする人も、される人も高齢者」と介護の大変さを明るく語っていたが、そんな主婦たちの存在に光を当てたい。